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THE BANK OF PUTTERS

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2007年 07月 08日

商品そのものを広告に

ゴルフクラブに限らず、今となっては当たり前の事ですがプロスポーツの世界において
「誰が何を使っているか?」というのを消費者にアピールする為の重要な要素は
その商品(道具)そのものです。
スポーツビジネスの中では一番良い例がナイキである事には異論は無いでしょう。
またスキーにおいて競技を終えた選手がすぐに板をはずして見えるようにアピールするのも
同じくメーカーやスポンサーの重要な戦略です。
これがあるからプロスポーツはビジネスとして成り立っているのです。

こうした戦略の前提にあるのが「テレビ放映」です。画面を通じて国じゅう、世界じゅうの
消費者にその商品(あるいはブランド)をアピール出来るからこそこの方法が有効なのは
言うまでもありません。

ゴルフクラブという分野でここに目を付けたのが早かったのがピン=カーステンさんでした。
クラブ作り、クラブの理論においての発明者としての卓越した才能だけでなく、実は
商売人としてのビジネスモデル作りにも長けていたのは数々の「カーステン商法」でも
証明されています。 クラブそのものを広告塔に使う、という手法もその一つです。
もともとGE社でテレビのキャビネットとラビットアンテナの開発に携わった人ですから、
テレビという媒体の持つ爆発的な可能性には早くから気が付いていたのでしょう。

方法は単純です。カーステンさんがやらなくても多分誰かがすぐに気が付いたかもしれません。


商品そのものを広告に_a0093304_10312868.jpg


SCOTTSDALE ANSERのバック部分です。PING ANSERの文字が見えます。


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DESIGNED BY... とBULLSEYE アンサーのライバル達です。
入れる場所の問題もありますが、こうして見る限り、どこのなんという名前のパターはわかりません。


テレビ、という要素を引いて考えると両者には何の区別もありません、ソールに何も
書いていない分、ANSERのほうが目立たないぐらいです。
ところがプレーヤーを後方から撮すテレビにおいては180度事情が違います。
実際、日本でも始めてピンパターが広く認知されたのはカナダカップのテレビ放映に
おいてだったと言われています。アメリカのプロがへんてこな形のパターでスッコン
スッコン入れまくっていた映像はまさに「何だありゃ?」だったそうです。

さらに後年・・・


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その傾向は顕著になります。
テレビの普及により「観るスポーツ」としても市民権を得たゴルフは他のスポーツ同様、
あるいはそれ以上に商業色を強くしていきます。プロスポーツらしくなった、とも言えます。

ピン=カーステンさんは高額の契約金による有名プロの抱え込みという手法には否定的でした。
プロであれば用具は提供する。結果(賞金)に応じたボーナスも出す。ただ名前に対して
安易にお金は払わない、という潔癖性とも思える哲学を貫いていました。それだけ製品の
パフォーマンスに自信があったのでしょう。
いっぽうでテレビで目立つ方法、というのはちゃっかりと研究しています。この辺が
商売人としても高く評価される由縁かもしれません。



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アイアン/ウッド用のグリップです。短いほうが古く長井ほうが新しいです。
単に長さが変わっただけではありません。そこには「グリップした状態でもロゴが
露出するように」という意図が見られます。EYE2時代に使われたダイアモンド柄の
グリップ(二重になっている事からDD=DOUBLE DIAMONDと呼ばれます)を見ると
確かにこれではテレビに映るチャンスがありません。


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パターグリップも同様です。3本のうち一番古いのが上、下にいくほど新しいです。
ロゴがどんどんチップエンド側に下がっていっています。

進化は世代を超えて続きます。
望遠レンズやデジタル技術の発達でテレビ側の手法が進化しました。それにより
パットの瞬間のボール側(フェース側)のアップも撮れるようになり、我々もパットの
瞬間からボールがカップに向かうさまを大写しで見る事が出来るようになりました。



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こんなふうに。

by greishi_7146 | 2007-07-08 10:57 | GENERAL


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