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THE BANK OF PUTTERS

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2007年 02月 08日

KATSU YAMAMOTO 〜山本さんのパター

KATSU YAMAMOTO  〜山本さんのパター_a0093304_1829392.jpg


山本さんはパター職人です。
と、言うよりクラブ職人さん、と言ったほうがよいでしょう。
組み立て、修理から調整、ヘッドのデザインに至るまで何でもこなします。
最新鋭の器具がなくても、物理学の知識がなくても「考えて」やってのけます。

ピンのクラブの修理にも長けていました。
アンサーのようにホーゼルの中にベアリングをかしめてシャフトを
内側から物理的な力で留めているパターも、山本さんにかかると
お尻から穴を開ける事もなく、金属が赤くなるまでバーナーで熱する事もなく
綺麗にシャフトが抜けてしまいます。以前に後ろから覗き込んで見たら
機械油と樫だか檜だかの木片と軍手を使ってクリクリという感じで抜いていました。

来日したカーステンさんが工房を訪れた時も、言葉も通じない同士二人で
身振り手振りを交えて1時間以上「ハンマーとヤットコ使って話し込んだ」という逸話があります。
ともあれ、山本さんはおよそゴルフクラブに関しては何でも出来る人です。
基本的には職人さんなのでコンピュータプログラムとかCADの知識は勿論
ありません。 なのに中古で買ったCNCの機械を駆使してパターヘッドを
削っていました。 


KATSU YAMAMOTO  〜山本さんのパター_a0093304_18452869.jpg


「機械2割、手仕事8割」と自らが言うほど一つ一に時間を掛けて作られたヘッドは
なんというか、とにかく美しいパターに仕上がりました。






KATSU YAMAMOTO  〜山本さんのパター_a0093304_18404921.jpg


プロが撮った写真なのですが、広告版下のいわゆる「あたり」なので、
悔しいかな本物の美しさを表現することは無理です。


カッパーフェースをはめ込んで機械でミリングした後、いったんカッパーをはずし
(この外し方もアンサーのベアリング同様、「ちょっとしたコツ」だそうで)
本体を鏡のように滑らかに仕上げてガンブルーを施し、出来た本体にまたカッパーを
はめ込む、という非常に面倒くさい作業の結果、ガンブルーのフェースのミリングマークと
カッパーのミリングマークが綺麗に一致します。
それをしてもしなくてもパターとしての性能に何ら関係ないように思えるのですが、
そう思わないところが職人の職人たる所以なのでしょう。



KATSU YAMAMOTO  〜山本さんのパター_a0093304_1847368.jpg


アンサー型のスタンダード9710、ノーホーゼル9708、ロングネック9711、スラントネック9712


KATSU YAMAMOTO  〜山本さんのパター_a0093304_1849250.jpg


削りだし+ガンブルーでは珍しいマレットの9704、9705,9706



山本さんは一昨年に東京浅草鷲神社(おとりさま、で有名ですね)裏の工房を閉め、
現在はなぜか三宅島に移り住んでいます。釣り三昧...なのでしょうか。


by greishi_7146 | 2007-02-08 19:01 | KATSU YAMAMOTO


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